日本一周サーフトリップ15日目|水温16.8℃ 冷たい海と温かいローカルたち

波乗り紀行

2024年7月31日。

北海道に入って15日目。

空は薄曇りだが、予報ではこれから晴れ。風も弱い。

昨日までとは違い、今日はサーフィンできそうな気がする。そんな期待を胸に、手早くキャンプ地を撤収した。

まず向かったのは、釧路の魚市場にある食堂。朝7時から営業している地元の人気店だ。

注文したのはホッケ定食。メインのホッケの開きに、目玉焼き、納豆、味噌汁、白ごはんが並ぶ。 焼きたてのホッケを頬張ると、これだけで今日がいい一日になりそうな気がしてきた。

腹ごしらえを済ませ、釧路から海岸線を西へたどるポイント探しを始める。

最初にチェックしたのは釧路市内の河口。冬にはジュエリーアイスが見られることで知られる場所らしい。しかし、この日の波はインサイドで力なく崩れる小波だけだった。

近くを散歩していた年配の男性に聞くと、この海岸でサーファーを見かけたことはないという。地形だけを見れば可能性はありそうだが、少なくとも普段から人が集まるポイントではなさそうだ。ここは深追いせず、次へ向かう。

続いて現れたのは、道の駅の目の前に広がる長いビーチ。

この日は小さかったものの、海岸のあちらこちらで波が割れていた。道の駅のスタッフに尋ねると、サーファーを見かけることもあるらしい。うねりと地形が合えば、遊べる日がありそうだ。次回の候補として記憶に留めておいた。

そして、この日の本命へ。

国道沿いにあるためアクセスは分かりやすく、駐車場には10台弱の車が止まっていた。海を見ると、5人ほどのサーファーが波を待っている。ようやく、入れそうな海にたどり着いた。

ちょうど海から上がってきたサーファーに声をかけると、帯広から通っているという。少し話しただけで、このポイントの雰囲気の良さが伝わってきた。

ローカル同士の結びつきは強そうだが、よそ者を遠ざける空気はない。旅先で海へ入る時、こういう自然な会話があるだけで緊張はずいぶん和らぐ。

「休憩したら、2ラウンド目を一緒にどう?」

と誘ってくれた。もちろん断る理由はない。オホーツクで入って以来、実に4日ぶりのサーフィンだ。波のサイズ以上に、また海へ戻れることがうれしかった。

入水前に水温計を海へ入れてみる。表示された数字は、まさかの16.8℃。

7月の終わりとは思えない冷たさだ。湘南なら冬の海に近い。空は快晴だったので、迷った末にシーガルで入ることにした。

海へ入った瞬間は、やはり冷たい。それでも、パドルを始めて体が動き出すと、少しずつ寒さは気にならなくなった。結果的には約2時間、久しぶりのサーフィンを楽しむことができた。

海の中ではローカルから「寒くないの?」と驚かれた。見回せば、周りは全員フルスーツ。真夏だからといって本州の感覚で装備を決めてはいけない。北海道の海の厳しさを、身をもって知ったサーフセッションだった。

海から上がった後、おすすめの店を聞くと、

「帯広で十勝豚丼とインデアンカレーを食べてほしい」

と教えてくれた。今夜の夕食は、それで決まりだ。ローカルに礼を伝え、再び西へ車を走らせた。

ここから先も、気になっていたポイントを一つずつチェックしていく。

まず立ち寄ったのは、公園脇から歩いて向かう河口。残念ながら、波はインサイドのショアブレイクだけだった。

近くには新垣結衣主演の映画「ハナミズキ」のロケ地があり、思いがけず旅の寄り道が増えた。

次は湿原の目の前に広がるビーチ。

サーファーの姿はなく、いるのは数人の釣り人だけ。陸から見る限りはドン深気味だが、地形そのものは悪くなさそうだ。サイズのある日の大潮、上げ込みなら違った表情を見せるかもしれない。

釧路を抜けて浦幌町に入ると、ここからは十勝エリア。

シーサイドライン沿いの景色は一気に開け、バイクで走っても気持ちよさそうな道が続く。天気もすっかり快晴になり、青い空と広大な海岸がどこまでも延びていた。夏の北海道らしい、開放感あふれる風景だ。

漁港の南北、長い砂浜、河口周辺。

波が小さい日でも、ブレイクする位置や海底の傾斜を眺めていると、うねりが入った時の姿を想像できる。サーファーの存在を示す看板がある場所もあったが、この日は海に誰もいない。平日なら、波があっても貸し切りに近いのかもしれない。

さらに進むと、またしても広大なビーチが現れた。

海岸の至る所で波が割れ、サイズが上がれば十分に楽しめそうな雰囲気がある。近くの高台にある展望台へ上がると、海を広い範囲で見渡すことができた。

波は綺麗に割れている。それなのに、海には誰もいない。景色を眺めながら黄昏れているだけでも気持ちがいい。こんな贅沢なサーフィン環境が、北海道にはまだいくつも残されている。いい場所を見つけた。

その後も河口や漁港周辺を確認したが、ショアブレイクだけの場所もあれば、南側は地形が悪くても北側には可能性を感じる場所もあった。

今日は一本目の海で十分に満たされている。無理に2ラウンド目を狙わず、気になった場所を次回のためにブックマークしていった。

日が傾き始めたところで、この日のサーフポイント探索を終了。向かったのは十勝地方の中心都市・帯広だ。目当てはもちろん、海で教えてもらった十勝名物の豚丼。

炙られた豚肉が、ご飯の上にこれでもかというほど載っている。付け合わせの味噌汁まで豚汁で、まさに豚づくし。久しぶりにサーフィンをして、その後も海岸を歩き回った体に、甘辛いタレと脂の旨味が染み渡った。

それでも、今日はまだ終われない。帯広が誇るB級グルメ、インデアンカレーへ向かった。

価格はワンコイン台から。この時代にありがたい安さだ。ドロっとしたルーはシンプルで、どこか懐かしい味がする。豚丼を食べた直後なのに、スプーンが止まらなかった。

朝はホッケ定食、昼は4日ぶりのサーフィン、夜は豚丼からのインデアンカレー。

波も食も、北海道らしい一日を存分に味わえた。締めは銭湯で体を温め、冷たい海と長い移動の疲れをゆっくり落とした。

明日は襟裳岬周辺へ。海岸線の向きも景色も、また大きく変わるはずだ。どんな波と出会えるのか——期待を残しながら、北海道15日目を終えた。

To be continued…

Photo Gallery

魚市場にある朝から営業している食堂。サーフトリップ中の朝食としては100点満点だ。
サイズが上がればサーファーが集まる、釧路市内のビーチ。絵になる風景だ。
釧路ローカルのメインポイント。雰囲気も波も最高だった。
映画「ハナミズキ」のロケ地になった場所。北海道には素晴らしいロケーションが点在している。
湿原を抜けた先にあるビーチ。ここもサイズアップしたら面白いかもしれない。
漁港横に広がるビーチ。湘南や千葉ならサーファーで溢れそうなコンディションだが、北海道では貸切だ。
高台から望む北海道の海岸線。あちこちで無人の波がブレイクしている。
十勝名物の豚丼。スタミナ満点、ボリュームたっぷりの逸品だ。
道民が帯広に来たら食べたいB級グルメNo.1のインデアンカレー。どこか懐かしい味がした。

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