日本一周サーフトリップ14日目|根室から釧路へ 道東フードファイト

波乗り紀行

2024年7月30日。北海道に入って14日目。

前日は悪天候で足止めを食らったが、朝にはどうにか雨が上がっていた。

今日は再び、道東の海岸線をたどって根室から釧路を目指す。

出発前に、昨日は雲に隠れていた北方領土をもう一度見ておきたくて、納沙布岬へ向かった。

外気温は15.9℃。関東では40℃を超える暑さが続いているというのに、ここではTシャツ一枚では肌寒く、パーカーが必要なくらいだ。

しかし、この日も海の向こうは厚い雲と霧の中。北方領土を望むことはできなかった。残念だが、これも旅だ。次に根室へ来る時は、青空の下で納沙布岬に立ち寄ってみたい。

宿をチェックアウトし、朝から営業している港の食堂へ向かった。

注文したのは、根室名物の花咲ガニを惜しみなく盛ったカニ丼。丼の上にはカニの身が山のように載り、味噌汁にもカニが入っている。まさにカニ尽くしだ。

値段は3,300円。朝食として考えればかなり贅沢だが、ここまで来たのだから食べない手はない。冷えた体に味噌汁が染み、濃厚なカニの旨味で一気に目が覚めた。

旅の朝としては、これ以上ないスタートだった。

食後はサーフポイント探しを開始。まずは宿の近くにある漁港周辺をチェックすることにした。

ところが、車を方向転換しようとした瞬間、草に隠れていた側溝へ前輪を落としてしまった。タイヤは見事なまでにすっぽりとはまり、自力ではどうにも動かせそうにない。

ロードサービスを呼ぶしかないか——そう途方に暮れていると、一人の年配男性が声をかけてきた。

「クレーンで引っ張り上げてあげようか?」

男性は地元の漁師さんで、ユニック車を持っていた。手際よく車を引き上げてもらい、幸い大事には至らなかった。

見ず知らずの旅人を迷いなく助けてくれたことが、本当にありがたかった。次にこの土地を訪れた時には、もう一度会ってきちんとお礼を伝えたい。

せっかくなので周辺の海について聞いてみると、この漁港ではサーファーを見たことがないという。ただし、少し先のビーチではサーフィンをしている人を見かけるらしい。

思わぬアクシデントだったが、貴重な現地情報まで得ることができた。

教えてもらったビーチへ向かうと、周囲にあるのは自治会館くらいで、人の気配はほとんどなかった。波が立ちそうな雰囲気はあるものの、この日は強風。海面は乱れ、入る気にはなれなかった。

その後もGoogleマップと地形を頼りに、気になる海岸を一つずつ見て回った。

ダート道の先に現れた小さな湾、玉石混じりのビーチ、霧に包まれた「北の国から」ゆかりの海岸、根室郊外の広大な砂浜。

どこもロケーションは魅力的だったが、波はインサイドのダンパーか、ほぼフラットだった。

人の姿がなく、今にも草むらからクマが出てきそうな場所もある。

さらに湿原の奥へ延びるダート道では、エゾシカやタンチョウの親子にも出会った。ようやく海が見えたと思ったら、その先はゲートで閉ざされている。視線の先では波が割れていたが、そこへたどり着く術はなかった。

根室を離れて浜中町へ入ってからも、広大なビーチ、小さな岬に守られた入り江、河口のある集落、漁港脇の砂浜を順番にチェックした。

サーファーはどこにもいない。

波がある場所もあったが、強風と流れ、ワイドなブレイクを見て、この日は無理をしないと決めた。

「入れなくはない」と「入るべき」は違う。

知らない土地で一人なら、なおさらだ。良い時には決まりそうな地形もいくつか見つけた。今日は乗れなくても、次の旅へつながる手応えは残った。

浜中町の海岸線には、強いうねりが届けば人知れずブレイクしそうな場所がいくつもあった。

岬と漁港で風をかわす入り江、河口の地形、漁港の北側に広がる長い砂浜。地形と風向きがかみ合えば、まったく違う表情を見せるはずだ。

一方で、インサイドの半分ほどがテトラで埋まった海岸もあった。このまま侵食が進めば、いつか砂浜そのものが失われてしまうのだろうか。

サーフポイントを探す旅では、波だけでなく、変わり続ける海岸の姿も目に入ってくる。

結局、この日は一度も海へ入らなかった。

それでも、風をかわす場所、うねりが反応しそうな向き、ブレイクの癖を自分の目で確かめられた。次回は天気と波を合わせて、もう一度この海岸線を走ってみたい。

ここでいったん海を離れ、浜中町にある、ルパン三世ミュージアムへ立ち寄った。

実は原作者のモンキー・パンチ氏は浜中町の出身。

館内には原画やフィギュア、小道具などが並び、ファンにはたまらない空間になっている。入場無料なのもうれしい。朝から海岸を走り続けていたので、ちょうどいい気分転換になった。

再び車を走らせ、次は厚岸町へ。空には少しずつ明るさが戻り、ちょうど小腹も空いてきた。せっかく厚岸まで来たなら、やはり牡蠣を食べておきたい。

立ち寄ったのは、好きな牡蠣を選び、テーブル席のグリルで焼いて食べるスタイルの店。

生牡蠣も注文し、焼き牡蠣はポン酢でいただいた。どれも大ぶりで、身はプリプリ。運転がなければビールを合わせたいところだが、それは夜まで我慢することにした。

夕方、ようやくこの日の目的地・釧路に到着した。日没前に最後のポイントチェックへ向かう。

台風の時に波が立つらしい場所だが、この日は完全なフラット。どこでブレイクするのかさえ分からず、地元の人もいなかったため、ここも次回への宿題となった。

日が暮れる前に銭湯で一日の汗を流し、夜は釧路の繁華街にある小さな居酒屋へ。

寡黙な大将がカウンターの向こうで黙々と料理を出してくれる。数の子、新じゃが、カニ、十勝豚、サザエ——どれも申し分なく、会計は1万円を超えたが満足度は高かった。

振り返れば、朝は花咲ガニ、昼は厚岸の牡蠣、夜もカニ。

波には乗れなかったが、食に関しては北海道をこれでもかというほど味わった一日だった。

食後、釧路の繁華街を少し歩いた。風は冷たかったが、根室よりはだいぶ暖かく、Tシャツ一枚でも過ごせる。明日は天気が回復し、風も弱まる予報だ。

明日こそ、いい波に乗れますように。

そう願いながら、長い一日を終えた。

To be continued…

Photo Gallery

納沙布岬から北方領土までは最も近い距離で4キロも離れていない。ここにはまだ終わっていない「戦後」がある。
根室の漁港食堂で食べた、花咲カニ丼。朝から蟹三昧の1日の始まり。
ドラマ「北の国から」のロケ地にもなった、根室市郊外の海岸。人影は皆無だ。
強いウネリが入ればブレイクしそうな湾のビーチ。
浜中町では比較的サーファーを見かけるという、とあるポイント。ビーチまで乗り入れできるのは嬉しい。
入場無料のルパン三世ミュージアムはファンなら、ぜひとも聖地巡礼に訪れたい場所だ。
牡蠣は生をレモン汁で食べるのが一番好きなスタイル。厚岸の牡蠣は最高だ。
夜も蟹三昧。甲羅に身をぎっしりと詰めた至極の一品。
日本最東端の繁華街といっても過言ではない、釧路の夜の様子。それなりに栄えている。

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